浜松のサイクリストコミュニティの中心自転車専門店〈HAPPY&SLAPPY〉を営む伊藤幸祐さんと発見する天竜の新しい魅力

HAPPY & SLAPPY

天竜の春秋をサイクリングで遊び尽くす。
地元で自転車専門店を営むスペシャリストと巡るオススメコース。

どこまでも透き通るような青空の下、ペダルを漕いで風を切りながら坂を登っていく。あの坂の先にはどんな景色が待っているのだろうか。まわりを見渡すと、森が生い茂った山々が太陽に照らさせて黄金に輝き始めている。

天竜の最大の魅力はなんといってもこの豊かな大自然だ。山と山の間には清流が流れ、空気が澄み渡り呼吸が心地いい。そんな天竜区を有する、浜松市東区自動車街で〈HAPPY&SLAPPY〉という自転車屋さんを営んでいる伊藤幸祐さん。

伊藤さんは生粋の自転車愛好家庭で生まれた。祖父が1代目、昔ながらの自転車屋さんをはじめ、父もまた同様の事業を手がけている。「おじいちゃんの代に自転車を買ってくれた人が、今でも当時の自転車を修理しに来てくれることもあって。

ちゃんと手入れをしていればずっと道具として使えるんですよ」と、少し誇らしげに語る伊藤さんも、気づけばお父さんのお店の隣で自転車屋さんを営んでいた。「自転車に乗りはじめたのは大学生の頃。バレーボール部だったんですが、体育館がキャンパスからけっこう離れてて。その行き来のために乗りはじめたのがきっかけ。それから本格的に自転車でいろんなところを走りに行くようになったんですよね」








その後、名古屋の自転車屋〈Circles〉で働き、地元浜松に戻って〈HAPPY&SLAPPY〉を開業。自転車の販売の他、オーダーメイドで注文、修理をしている。お客さんの身長や要望に合わせて自転車のフレームの色やデザイン、パーツ構成、全てを決めてから1つ1つ丁寧に自転車を組みつけ、いつも人に寄り添った自転車を提案し続けている。

さらに、お客さんの自転車や好みに合わせて周辺コースを巡るツアーを開催しているのも〈HAPPY&SLAPPY〉ならでは。最近は、毎週土曜日夜にお店の前で自転車愛好家や老若男女様々な方に餃子を提供をしているんだとか。明るく、いつも自然体の伊藤さんのまわりには浜松を中心とする自転車愛好家が集まりコミュニティが形成されている。









天竜はサイクリストの天国だった

天竜はサイクリングのメッカのひとつだ。伊藤さんによると、オススメなのは汗もかかず、空気がスカッと澄んでいる春と秋。天竜の自然は夏の川遊びも満喫できるが、春夏は初心者でもサイクリングで思いっきり楽しむことができる。

天竜は車道も整備され、サイクリングに適していることに加えて、住宅の間の小道や川沿いの林道もたくさんある。そんな道なき道へと漕ぎ出し、小さな冒険をするのが伊藤さんのお気に入りの走り方。また、浜松市街から西鹿島駅まで遠州鉄道が走っているため、小さな輪行バッグを持参すれば自転車を電車で運び、帰りも同じように帰って来ればいいため利便性にも優れている。

余談だが、伊藤さんが本当に好きな季節は冬なんだとか。天竜は雪も積もらないし、風もない。走行中寒いのはたしかだが、ちゃんと防寒すれば問題はない。また、雨の日に走った時の車輪と水が接する感覚も好きだという。子供が雨ではしゃいでいるような感覚に近いのだろうが、それもまた伊藤さんらしい。







伊藤さんイチオシのサイクリングコース

今回、そんな伊藤さんの案内のもと、自転車ツアーの一環で天竜のオススメのサイクリングコースをガイドしてもらった。平坦な道も山の登り降りもありつつ、時には林道へ、途中で蕎麦屋で一服したり、公園でみんなで休憩をしたり、サイクリングで回るからこそ見えてきた天竜の新しい魅力の数々。初心者でも楽しめるそんなコースを紹介する。

今回走ったコースは、「西鹿島駅 〜 百古里庵 〜 道の駅 いっぷく処横川 〜 春野ふれあい公園 〜 月花園 〜 西鹿島駅」。


まず、出発地点の西鹿島駅へ向かうため、自転車の前輪を外し、輪行バックに入れて西鹿島駅へ。






下車すると、輪行バックから自転車を取り出し、組み立て直していざスタート。車道を進みながら、伊藤さんオススメの横道へ、時には林道を通ってぐんぐん進んでいく。






最初の目的地、蕎麦屋〈百古里庵〉へ。昔ながらの民家でお蕎麦屋さんを営む山間の名店。外には自転車置き場もあり、まさにツーリングに最適なランチスポット。おいしい蕎麦を食べたら再出発。









次なる目的地は、天竜のお土産や食材を豊富に揃えている〈道の駅 いっぷく処横川〉。名物は、特産の原木椎茸でつくられた「しいたけソフトクリーム」。ぜひご賞味あれ。






そして、途中からほとんど自転車を漕ぐことなく、ひたすら坂を下り続けるとたどり着くのが〈春野ふれあい公園〉。実はここで自転車のレンタルサービスのアドバイザーとして自転車普及を目指す伊藤さん。定期的にここを訪れるそうで、公園を案内してもらった。






最後の目的地が、和菓子屋〈月花園〉。代表商品は春野銘菓「青ねり」。自転車を漕ぎまわって疲れた身体にお菓子を補給して、いざ出発地点の西鹿島駅へ戻る最後のサイクリングへ。









サイクリングで満喫する天竜の魅力

普段からよく運動をする人にも、ほとんど自転車を漕がない人にも天竜でのサイクリング体験はオススメしたい。全身で大自然を感じながら、休憩がてら天竜の食を巡る贅沢な旅のスタイル。歩いてはたどり着けない、車では感じ取れないものがそこにはあった。

今回のコースに従う必要はまったくない。自転車を漕ぎながら気になったお店でのんびり読書にふけるのもいいし、目的地もなく自転車を漕ぎ続けるような旅も天竜らしいかもしれない。旅に出る前に〈HAPPY&SLAPPY〉を訪ねて相談してみれば、きっと伊藤さんがあなたにあった特別な遊び方を教えてくれるだろう。


写真:新井 Lai 政廣 文:別府大河

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